「令和7年度予算審査特別委員会」質疑応答のご報告
2月26日から3月5日まで、令和7年度に計上された予算の内容について審査を行う「令和7年度予算審査特別委員会」が開催されていますが、昨日、私からは以下の2点について提言を実施いたしました。
今回は防災に重点を置き、江東区地域防災計画の実効性の担保や、被災時に区民の皆様の混乱を少しでも低減させる方策をご提案いたしました。
長文になりますが質疑応答の概要をQ&A(1問1答方式)でご報告申し上げますので、是非最後までご覧ください!
【総務費】防災船着場へ夜間照明の整備を(答弁者:防災課長、施設保全課長、河川公園課長)
Q:
区内に20か所整備されている防災船着場は、日頃から観光・レジャーを含む舟運業者にご利用いただき、有事発生時の活用に備えた使い勝手などご意見を聴取しておくことが有用であると考える。
また、有事発生時の利用想定はどのように考えているのか?
A:
20か所のうち江東区で管理している12か所は、遊漁船(釣船)や営利を目的とする船舶に対し、船舶の登録を行ったうえで使用許可を出している。
なお、先日“高橋乗船場”で官民合同の防災訓練を実施した際、船への物資の積込手段などについて課題を見出すことができた。
また利用想定は、①傷病人の搬送②物資の搬送③住民等の避難 を考えている。
Q:
地震など、いつ発生するか事前予測が困難な災害にも備えるため、防災船着場には夜間照明が必須と考えるが、整備状況は?
A:
江東区地域防災計画に位置付けられている20か所のうち、整備されているのは東京都管理の1か所のみである。
Q:江東区地域防災計画では、陸路が途絶した場合には防災船着場を使用すると定められていることに加えて、自衛隊への災害派遣要請時には、派遣部隊や救援物資を防災船着場から受け入れることとなる。
河川や運河に囲まれた江東区には橋梁が多く、落橋した際には船舶による救援物資などの運搬が必須であり、あらためて防災船着場には夜間照明の整備が必須と考える。
A:
江東区地域防災計画では、防災船着場は少なくともその位置が水上から確認できる程度の照度を確保することとし、災害時に商用電源が使用できない事態も想定し、投光器などにより照明を確保することとしている。
また、現在東京都と防災船着場整備計画の改定に向けた検討を進めており、江東区としても夜間照明の整備は必須と考え、照明設備の仕様などについて検討する。
Q:
冒頭述べたが、有事発生時にもスムーズに活用できるように普段使いをしておくことが有用であり、防災船着場に夜間照明を整備し、日没までの利用と規定されている江東区の条例を改正するべきである。
A:
条例改正については夜間照明を整備後、防災船着場の管理運営なども含めて総合的に検討をする。
(感想)
防災船着場20か所のうち、夜間照明が整備されているのが1か所のみという事実には驚きました。今回のご提案で、区役所の皆様も整備の必要性について認識をお持ちいただけたので、可及的速やかな整備を引き続き求めます。
また、日没以降も利用できるようになれば、観光船など舟運業者の皆様による新たな観光資源の充実にもつながることを期待します。
【総務費】被災時ワンストップ窓口の新設を(答弁者:防災課長)
Q:
大規模地震発生時などにおいても区役所機能を継続させること(早期に再開させること)が必須であるが、有事発生時の職員の配備態勢についてまずはうかがう。
A:
休日・夜間などの勤務時間外に震度5以上の地震が発生した場合には災害対策本部を設置し、全職員が参集するよう規定されている。
また、区内に大規模火災・水害などの突発的事故が発生した場合などは、広報広聴課および総務部に所属し、かつ、区内居住の職員は参集するよう規定されている。
Q:
区内居住の職員のみでは交通機関が麻痺した際に参集できず、また、長期に渡って災害時業務に従事することが困難であると想定されるため、耐震性に優れた職員用住宅を区内に確保しておく必要もあると考える。
加えて、区内居住の職員数をうかがう。
A:
災害時対応を視野に入れた職員用住宅は必要であると認識しており、古石場に職員寮を保有している。
また、限られた人員では絶対数が不足するため、他自治体との災害時協定締結に加えて、区内の協定締結団体による協力を想定しており、令和7年度に“災害時協定連絡協議会”を立ち上げて連携強化を図る。
なお、区内居住の職員は2,847人中974人(34%)である。
Q:
過去に江東区から被災地へ派遣された応援職員は、現地でどのような業務に従事されたのか?
また、当該職員の持ち帰った知見をどのように蓄積しているのか?
A:
令和6年能登半島地震では、携帯トイレや毛布など救援物資の提供(防災課職員2名随行)に加え、住宅被害認定業務(建築職1名)、避難所における健康管理支援業務(保健師など6名)、り災証明書受付業務(土木職など5名)、公費解体申請受付業務(一般職1名)の応援業務に従事した。
持ち帰った知見としては、職員個人のスキルアップや組織間の連携強化、被災者支援再建システムの更新、各種協定の具体化が大事だと感じたとのことであり、防災課内で当該知見を蓄積している。
Q:
本区の新たな窓口として、被災時にワンストップで必要な手続きについて助言をする“被災時相談コーナー”の新設が望ましいが、その前段として、区民の皆様の意識(知識)の向上も目指した“被災時ハンドブック”を作成し、被災時に必要と想定される手続きや、その窓口(連絡先)を掲載してはいかがか。
A:
総務省の高知県にあるセクションで、ご提案の内容に近い“災害時の生活支援窓口案内(ガイドブック)”を作成しており、そのような好事例を踏まえて研究する。
Q:
大規模災害発生時には国(総務省)が主体となって被災者の生活再建の相談にワンストップで対応する“特別行政相談”が設置されることがあるが、先日、中野区が総務省と協定を締結し、中野区地域防災計画にその開設場所などの規定を盛り込み早期開設の体制整備を行うこととしたそうであるが、本区の認識は?
A:
窓口の開設には区役所内の関係各課や関係団体などの支援と協力が必要となるが、その運営スキームの具体化が課題と認識している。
(感想)
江東区地域防災計画は約500ページにも及び、災害予防・応急・復旧計画から復興に至るまでのあらゆる計画が網羅されていますが、個々の計画の実効性の担保には課題が山積で、計画倒れの感が否めません。
81の区内協定締結団体の皆様も含めて、本気になった可及的速やかな検討を強く要望いたしました。
以上