今年の4月1日から成年年齢が18歳になります!
明治9年以来、146年ぶりの民法改正により、今年の4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。
引き下げの背景や留意事項など、19歳で成年となる娘を持つ私自身の視点も踏まえて以下のとおり整理いたしましたので、是非ともご確認ください!
★民法の成年年齢には「一人で有効な契約をすることができる年齢」と「父母の親権に服さなくなる年齢」という意味があります。
【成年となる推移】
・2002年4月1日以前生まれ→20歳の誕生日に成年
・2002年4月2日~2003年4月1日生まれ→今年の4月1日に19歳で成年
・2003年4月2日~2004年4月1日生まれ→今年の4月1日に18歳で成年
・2004年4月2日以降生まれ→18歳の誕生日に成年
【引き下げの主な背景】
・多くの諸外国(世界の約8割)が成年年齢を18歳としているから
・少子高齢化の世の中において18歳、19歳を大人と認めて早期に積極的な社会参加を促すため
・2016年に公職選挙法の選挙権年齢が18歳に引き下げられたから
【成年年齢の引き下げで変わるもの・変わらないもの(例)】
(成年になったらできること)
・親の同意がなくても契約ができる
→携帯電話の契約、ローンを組む、クレジットカードを作る、一人暮らしの部屋を借りる など
・10年間有効のパスポートを取得する
・公認会計士や司法書士、医師免許、薬剤師免許などの国家資格を取得する
・結婚
→女性の結婚可能年齢が16歳から18歳に引き上げられ男女共に18歳に
・性同一障害の人が性別の取扱いの変更審判を受けられる
※普通自動車免許の取得は従来と同様18歳以上で取得可能
(成年になっても20歳にならないとできないこと/これまでと変わらないこと)
・飲酒をする
・喫煙をする
・競馬、競輪、オートレース、競艇の投票券(馬券など)を買う
・養子を迎える
・大型、中型自動車運転免許の取得
・国民年金の加入義務が生じる
【懸案事項】
・親の同意を得なくても自分で契約ができるようになり、親の「未成年者取消権」を行使できなくなるため、悪徳商法などの消費者トラブルや詐欺などに巻き込まれる可能性が懸念される。
→犯罪者集団は18歳、19歳の新成年を確実に狙っています!自身のお子さんは勿論、周りの新成年にも目配り、気配り、心配りをお願いいたします!
・高校3年生という学年で成年と未成年が混在することになる。
→消費者教育に加えて、いじめや格差につながらないような学校教育も望まれます。
★困った時やおかしいと思った時は、躊躇せずに「各自治体の相談窓口」や、「消費者ホットライン」へ相談しましょう!
※江東区消費者センター 電話:03-3647-9110
※全国共通消費者ホットライン 電話:188(いやや)
【その他留意事項】
(離婚時の養育費について)
離婚時に「子が成年に達するまで養育費を支払う」との取り決めが有った場合には、取り決め時点で成年年齢が20歳であれば、従前どおり20歳まで養育費の支払い義務を負うと考えられるようです。
→今後は「〇〇歳に達した後の3月まで」というように、明確に支払期間の終期を定めることが望ましいでしょう。
(少年法も同時に改正されます)
18歳、19歳は「特定少年」と位置付けられて引き続き保護されますが、家庭裁判所から検察に送り返す事件の対象が広がります。
→起訴されると実名・顔写真を報道することが可能となるため、罪を犯した若者の立ち直りへの影響も懸念されます。
(成人式について)
成人式は法律による決まりはないため各自治体の判断で実施されますが、民法改正後もほとんどの自治体で20歳で実施するようです。
※江東区も20歳の年に実施することがすでに決定されています
【最後に】
成年年齢の引き下げは早く自立したい人にはメリットですが、まだ自立心が養われていない人も多く、判断力や知識量にも個人差があります。
成年としての自覚と責任、大人としての心構え、自分の身は自分で守るという認識について、国や自治体、学校などがしっかりとしたサポートを行い、相談を受けられる体制の整備とその周知が必須です。
加えて、それぞれのご家庭や周りの大人たちがしっかりとサポートされることを望みます。