【注意喚起】電動キックボードの利用について

近年、公園で保護者と一緒に未就学児童のお子様がヘルメットを着用して、足漕ぎのキックボードを乗っている微笑ましい姿を見掛けることが増えてきたように感じますね。
 また、区内でも同様の足漕ぎキックボードと思いきや、電動でスーッと車道や歩道を駆け抜けていく“電動キックボード”を見掛けることも増えてきたように感じます。

 ところが、知っているようでなかなか浸透していなのですが、なんと!「電動キックボードは原動機付自転車(バイク)」なんです!(電動キックボードとは、足漕ぎ以外の全ての動力を利用したキックボードを指します) 

 つまり、昨今は気軽にネット通販で購入できる電動キックボードですが、公道を走行するには機体の整備に加えて、その他にも各種義務を順守する必要があります。
 そこで、電動キックボードの法整備上の位置付けを下記にまとめてみましたのでご確認ください。 

【電動キックボードで公道を走行する場合の法整備上の位置付け】
・「原動機付自転車」に区分されており、公道を走行する場合には機体へ保安装置(サイドミラー、ブレーキ灯等)の設置が必須。
・ナンバープレートの取得が必須。
→個人で機体を購入した場合には軽自動車税(市町村税)の納付が必須
・乗車時はヘルメットの着用義務あり。
・原付免許証の携帯必須。
・公道(私有地以外)では車道のみ通行可。
・自賠責保険の加入義務あり。
→未加入の場合には1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられる  

 上記のとおり、多くの義務が課せられています。
  また、大変残念なことに最近の報道では、
・電動キックボードに二人乗りで歩道を走行し、歩行者と接触事故を起こして大けがをさせたにも関わらずに逃走して逮捕された。
・電動キックボードを無免許で使用して逮捕された。
など、利用者に法整備上の位置付けが浸透していないこともうかがえます。 

 さて、上記では一般論としての法整備上の位置付けをご紹介いたしましたが、実は現在、電動キックボードがより安全・便利に利用できるための規制の適正化に向けて、国による実証実験が行われています。(令和3年4月~令和3年10月までの期間)

20210713電動キックボード②

実証実験に参加しているLuup社の機体

 具体的には、本年4月23日に経済産業省によって「産業競争力強化法に基づく新事業活動計画」が認定され、電動キックボードの利用に関して以下のとおり規制の特例措置が適用されています。
 なお、認定事業者は以下の4社であり、当該4社が貸し出す電動キックボードのみが特例措置の対象となることにご留意ください。(個人所有の機体は特例対象外です)
 また、実証実験認可エリアは4社で異なるため、詳細な認可エリアはそれぞれの事業者から情報を取得されてください。 

20210713電動キックボード①

Luup社のポートの様子

<株式会社Luup>
認可エリア:品川区、渋谷区、新宿区、世田谷区、港区、目黒区、大阪府大阪市

<株式会社mobby ride>
認可エリア:福岡県福岡市

<株式会社EXx>
認可エリア:渋谷区、世田谷区、千葉県柏市、神奈川県藤沢市、兵庫県豊岡市

<長谷川工業株式会社>
認可エリア:千葉県千葉市、大阪府大阪市

【産業競争力強化法に基づく実証実験認可エリア内における特例措置】
・道路交通法上、特例措置による実証実験認可エリア内は「小型特殊自動車」に区分される。
・乗車時のヘルメット着用は任意。
・原付免許では運転できず、小型特殊免許以上の免許証の携帯必須。(いわゆる自動車の免許があれば大丈夫です)
・車道に加えて、普通自転車専用通行帯、自転車道の走行が可能。
・自転車が交通規制の対象から除かれている一方通行路の双方走行が可能。
・自賠責保険の加入義務あり。(実証実験の認可を受けたシェアリング事業では、自賠責保険に加えて対人賠償・対物賠償等の任意保険も加入されている事業者がある)
・実証実験の認可を受けた事業者の機体は最高時速が15キロに制限されている。 

 以上、電動キックボードの利用に関する注意点と、現在実証実験が行われている特例措置についてご紹介させていただきました。

 ここでも留意すべきことは、市販の商品を個人で使用する場合と、実証実験認可エリア内で認可を受けたシェアリング事業の機体とでは、適用されるルールと機体の性能が全く異なる、ということです。繰り返しになりますが、ルールをしっかりと順守することが肝要であります。
 何の制約もなく電動キックボードを使用できるのは私有地のみである、ということを強く認識されてください。 

 なお、原動機を持たないキックボードは車両には該当せず、道路交通法上は歩行者に区分されますので(2021年6月14日:経済産業省発表)、万が一接触事故など起こしてしまった場合には、各損害保険会社が火災保険や自動車保険の特約で販売している「個人賠償責任保険」でお支払い対象となる可能性がありますので、覚えておくと良いでしょう。 

 最後に、本年10月までの実証実験終了後に報告書がまとめられ、早ければ今年度中に道路交通法改正案が提出される見込みであるとうかがっています。
近い将来、安全で便利に電動キックボードが利用できる法整備が整うことを期待しております。